狭心症・心筋梗塞は
心臓病で最も多い病気
狭心症、心筋梗塞や心臓の病気でもっともよく見られる病気です。一方で、絶対に見逃してはならない病気でもあります。特に心筋梗塞は冠動脈が閉塞する病気であり、時に命に関わります。
ただ、がんのように恐れる病気ではありません。正しく理解することで、予防や早期発見が可能であるためです。また治療においても、近年では目覚ましい進歩を見せています。
狭心症とは
狭心症とは、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が細くなったり・詰まりかけたりする病気です。心臓への血液の供給が低下し、胸痛などの症状に見舞われます。
狭心症が悪化すると、冠動脈が完全に閉塞する心筋梗塞を発症します。
なお狭心症には、以下のような分類がされます。
安定狭心症
階段の上り下り、重いものを持つ、精神的なストレスを受けるといったタイミングで発症します。全身に血液を送り出すために心筋の動きが活発化しているのに、血管が細くなったり詰まりかけたりしているために、十分な供給がなされず、胸痛や胸の圧迫感が起こります。
毎回同じような運動量・ストレスによって発症します。
不安定狭心症
安定狭心症と比べ、胸痛や胸の圧迫感の現れ方が異なります。痛みが強くなる、回数が増える、軽い運動時や安静時に痛みが起こるといった違いが見られるということです。
安定狭心症であった方にこのような症状の増悪が見られた場合には、冠動脈が急速に閉塞しかかっていることもあるため、すぐに救急外来を受診します。
異型狭心症
冠動脈が一時的な痙攣を起こしたことで、夜間や昼間の安静時に、胸が苦しくなります。
動脈硬化がそれほど進行していなくても起こることがあります。
心筋梗塞とは
心筋梗塞とは、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が閉塞する病気です。血流が途絶えるため、心臓の細胞が死に、機能が低下します。
急に現れることもありますが、気づかないうちに徐々に進行して発症するものもあります。
細胞がどれくらい死んでしまったかにもよりますが、極端に心臓の機能低下をきたし、命を落としてしまうこともあります。
冠動脈は全部で3本ありますが、そのうちの1本が閉塞したものを「1枝病変」、2本が閉塞したものを「2枝病変」、3本が閉塞したものを「3枝病変」と呼び、数が多いほど重篤になります。
こんな症状があれば狭心症・
心筋梗塞かも…
以下のような症状が現れたときには、狭心症・心筋梗塞が疑われます。
- 胸痛
- 胸の圧迫感
- 息苦しさ
- 失神、ショック状態、呼吸停止
胸痛や胸の圧迫感は狭心症・心筋梗塞に共通した症状ですが、心筋梗塞の場合は脂汗が出るほどの激しいものとなり、これが30分以上続きます。狭心症の場合は、数分~15分くらいで治まります。
狭心症・心筋梗塞になる原因
狭心症・心筋梗塞の主要な原因は、動脈硬化にあります。高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が背景にあることが多くなります。いずれも動脈硬化を進行させ、狭心症・心筋梗塞の他にも、脳卒中のリスクを高めます。
動脈硬化
動脈は、心臓から送り出される血液を全身に運ぶ役割を担っている血管です。この血管は、通常は弾力性があり、しなやかな状態ですが、動脈硬化になると、文字通り動脈の血管が硬くなります。内腔にプラークがついたり、血栓ができることで血管が詰まりやすくなってしまうのです。
狭心症・心筋梗塞の検査・
治療方法
検査
心電図検査、心エコー検査、血液検査、冠動脈造影検査、冠動脈CT検査、心筋シンチグラム検査などが行われます。当院では、24時間ホルター心電図検査にも対応しております。
治療方法
薬物療法
冠動脈を拡張する薬、冠動脈の閉塞を防ぐ薬などを使用します。心筋梗塞の場合には、心筋の負担を軽減する薬を併用することもあります。
カテーテル治療
バルーンカテーテルで冠動脈の狭窄部を広げ、それを維持するためにステントを留置する「経皮的冠動脈形成術」が行われます。カテーテルは、手首や肘の動脈から挿入するため、患者さんのご負担も少なくなります。
手術
冠動脈の狭窄部を飛び越えて別の血管をつなぐ「冠動脈バイパス術」が行われます。
近年では、人工心肺装置を使わずにこの手術ができるようになっています。