アメリカでは、コレステロール摂取制限がなくなりました。
2013年11月の米国心臓病学会/米国心臓協会(ACC/AHA)、今年2月の米農務省のガイドラインで、食事中のコレステロール摂取制限が消えました。
理由は、「コレステロール摂取量と血中コレステロール値の関連が不明」からです。
以前から、「卵はOK?だめ?」 なんて論議がありました。
健常人は制限不要だが、脂質異常症では「1日2〜3個以上の卵黄摂取は勧められない」
日本動脈硬化学会は、このほど声明を発表し、
・それは健康な人を対象としており、健常人の脂質制限に関わる記載は賛同する。
・高コレステロール患者ではやはり食事中のコレステロール摂取量に注意が必要。
との考えを示しました。
確かに、
「1日1個程度の卵摂取と冠動脈疾患,脳卒中のリスク上昇に関連はなかった」
との論文があります。これは、
・体内のコレステロールは、食事由来が20%で、80%は体内で合成される。
・コレステロールだけが血清コレステロール値を上昇させるわけではない。
・余分なコレステロールが蓄積し、動脈硬化の原因となる。
ことから考えると当然だそうで、
・コレステロール値が高い人は,体内でのコレステロール合成能も高まっており、コレステロールや飽和脂肪酸を多く含む食品(肉の脂身や乳製品,卵黄など)を控えるのが望ましい。
・例えば,1日に卵黄を2〜3個以上食べることなどは勧められない
としています。
コレステロール摂取のみを制限しても改善はほとんど期待できない
ただし、
「コレステロール摂取のみを制限しても改善はほとんど期待できない」
としており、血中LDL値を減らすには
「生活習慣の包括的な修正や脂肪酸のバランスにも留意することが大切」
と強調しています。
伝統的な和食が有効
では、コレステロール値を下げるにはどうすれば良いのでしょうか?
具体的には、
・過食を控え、標準体重を維持する
・肉の脂身、乳製品、卵黄の摂取を控え、魚類、大豆製品の摂取を増やす
・野菜、果物、未精製穀類、海藻の摂取を増やす
・塩分を控える
・アルコールを控える
を勧めています。特に、
「太っていて脂肪細胞を多く持っていることそのものが血清コレステロール値の上昇を招く。」
「未精製穀類は過剰なコレステロールを体外に排出する水溶性の食物繊維が豊富。白米から切り替えるだけでよいので負担が少なく,有効性も高い」
と指摘しています。
すしや天ぷら,お好み焼きなどは伝統的な和食に当てはまらないそうで、注意が必要ですね。