不整脈(心電図異常)とは
不整脈とは、脈がゆっくりになる、速くなる、または不規則になる状態を指します。
不整脈の多くが、運動、興奮、発熱によって引き起こされるものであり、こちらは誰にでも起こる生理的な不整脈となりますので心配はいりません。
一方で注意しなければならないのは、病気によって引き起こされる不整脈です。
整脈の3つのタイプ
頻脈性不整脈
1分あたりの心拍数が100回を超えるものを指します。ここからさらに、心房頻拍、心房細動(粗動)、発作性上室(心房)性頻拍、心室頻拍、心室細動、WPW症候群などに分類されます。
危険な不整脈である「心房細動」
心房細動とは、心臓の心房という部屋から1分間に300回~400回程度、不規則に収縮をする不整脈です。
この不規則で非常に速い収縮の不整脈が起こると、心房の中に血栓という血の塊ができることがあります。これが心筋梗塞を引き起こす原因となったり、その血栓が脳の血管に流れてしまうことで脳梗塞を引き起こすなど、命に関わる病気の原因となることがあります。
また心拍数が不規則に速くなることで、心臓の筋肉が疲れてしまい、心不全という状態を起こしやすくなります。
徐脈性不整脈
1分あたりの心拍数が50回以下になるものを指します。洞不全症候群や房室ブロックなどに分類されます。
期外収縮不整脈
脈拍が飛んだり乱れたりと、不規則になるものを指します。30歳以上のほとんどの人に認められるものであり、加齢とともに増加します。多くは病気とは関係ありませんが、一部の期外収縮は心筋症や心筋梗塞を原因として起こります。
こんな症状があれば不整脈かも…
不整脈の症状は、そのタイプによって異なります。
頻脈性不整脈の症状
- 心拍が速くなり、胸の不快感や動悸がある
- 吐き気
- 冷や汗
- 意識が遠のく
徐脈性不整脈の症状
- 心拍が遅くなる
- 動作時の息切れ、めまい
- 失神
期外収縮不整脈の症状
- 息苦しさ
- 胸の詰まった感じ
- 胸痛
不整脈はストレスと関係がある?
不整脈になる原因
不整脈になる原因には、以下のようなものが挙げられます。
疾患
冠動脈疾患、心臓弁膜症、心不全、先天性心疾患などの心臓の疾患・異常の他、高血圧、甲状腺疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの症状の1つとして、不整脈が現れます。
薬の副作用
降圧剤、抗うつ剤などの一部の薬の副作用として、不整脈が現れることがあります。
運動・興奮・発熱
運動や興奮、発熱によっても、不整脈は起こります。生理的な現状であり、その後元に戻るようでしたら、心配はいりません。
その他
加齢、体質、ストレス、疲労・睡眠不足などによって不整脈が起こることがあります。
不整脈の予防方法
不整脈の予防においては、不整脈を引き起こす疾患を予防すること、すなわち生活習慣の改善に取り組むのが有効です。
生活習慣の改善
ストレスを溜めないこと、十分な睡眠をとり規則正しい生活を送ること、飲み過ぎないこと、禁煙することなどが大切です。
人によっては、コーヒーなどの刺激物が不整脈を誘発することがあるため、注意してください。
不整脈の検査方法
問診を行った後、当院では以下の検査を行っております。
また、その他、電気生理学的検査、カテーテル検査などが行われることもあります。
心電図検査
安静時に行う検査で、12誘導心電図検査とも呼ばれています。
手首と足首に専用器具、胸に電極をつけて、心臓の動きや脈の乱れを調べます。
レントゲン検査
胸部レントゲンを撮ることで、心臓の大きさや肺の状態を調べる事ができます。
24時間ホルター心電図検査
携帯型の心電図記録装置を使用し、24時間の心電図を記録することができます。
日常生活内での心臓の状態を記録することで、病院での検査では見つからなかった不整脈を捉えられます。
不整脈の治療方法
不整脈の治療では、薬物療法、手術が行われます。
薬物療法
心臓からの異常な電気信号を防ぐ、心拍の増加を抑える、血管の収縮を防ぐといった作用を持つ抗不整脈薬を使用します。
カテーテル治療・手術
脚の付け根からカテーテルを通して心筋の一部を焼き切る「カテーテルアブレーション」、心拍のリズムを整える「ペースメーカー」や「ICD(植え込み型除細動器)」の埋め込み、心房の壁を切除して痙攣を抑える「メイズ手術」などが行われます。